目次
縦走とピークハントの違い
縦走とは、連なる山々の山頂から山頂へ、稜線を次々歩いていくことを目的とします。当然ですが歩行距離や歩行時間は長くなり、山を登っては下り、下っては登る為、体力が最重要となる登山スタイルになります。
一方ピークハントとは、ある山の山頂を目的地とし、登りと下りが別の登山道を通れど、一般的には同じ場所へと戻ってくる登山スタイルのことです。
縦走とピークハントでは、目指す目的が異なり、スタート地点とゴール地点が異なる点が挙げられます。
例えば…
①車で登山口まで行ったとします。
目指す山の頂上へ向かい、無事登頂して、車を駐車した場所へ戻ってきます。
これなら問題なく車で登山口までアクセスできる訳です。
しかし…
②車で登山口まで行ったとします。
連なる山々の頂上から頂上へと縦走し、車を駐車した場所から20kmも離れた場所に下山しました。
これなら下山後に駐車した車を取りに行かないといけなくなる訳です。
①の場合なら車で登山口までアクセスして全く問題ないですが、②の場合なら電車・バス・タクシーなどで登山口にアクセスし、下山も電車・バス・タクシーで帰りやすいポイントを探す方がベストと言えます。 このように、縦走の場合はピークハントに比べ、より高度で綿密な登山計画が必要になる訳です。
関西の主な縦走路
関西で登山をしてる方なら、憧れの日本アルプスはなかなか遠くて馴染みがないものです。しかし、登山をする以上はやはり北アルプスや南アルプスの山々には行きたいものです。
ですが、、、
日本アルプスは関西の山々と登山距離や登山時間(行動時間)、ハードさの勝手が違います。ある程度身近な関西の山でトレーニングしてから挑戦することをおすすめします。
関西にもトレーニングにもってこいの縦走路は色々あります。
●奈良 大峰山脈の縦走路/大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)
●奈良三重 台高山脈の縦走路
●滋賀 比良山地の縦走路
●兵庫 六甲山脈の縦走路
●奈良大阪和歌山 金剛葛城山脈の縦走路/ダイヤモンドトレール
などが代表的です。
ここでは初心者から上級者にも人気が高い「ダイヤモンドトレール」縦走路を紹介し、計画の練り方、アドバイスなどを解説したいと思います。
ダイヤモンドトレールのマップ
ダイヤモンドトレールの詳しい地図は ↓ コチラ
ダイヤモンドトレールとは?
奈良県・大阪府・和歌山県にまたがる金剛葛城山脈を縦走する自然歩道のことを指し、通称:ダイトレと呼ばれています。縦走路は以下の山の頂上を通過し峠をいくつも越えるアップダウン激しい全長45kmの登山道です。
ダイヤモンドトレールの地図上の位置としては、大阪府(府県境)の東南部から南東部の方に逆L字型の縦走路です。
[ダイトレ全行程の通過点]
標高154m
⇅
標高517m
⇅
標高474m
⇅
⇅
⇅
標高659m
⇅
岩橋峠
⇅
⇅
標高959m
⇅
水越峠
標高510m
⇅
⇅
標高1125m
⇅
⇅
⇅
⇅
標高376m
⇅
899m
⇅
標高278m
⇅
⇅
⇅
標高470m
※峠の標高は多少誤差があります。
※槇尾山山頂はダイヤモンドトレール上にはありません。
※ダイヤモンドトレイルと表記する方もいるようです。
ダイトレ踏破の計画を立てる!
…その前に
ダイヤモンドトレール(通称:ダイトレ)は、奈良県香芝市の北入口から大阪府和泉市の南入口まで全長45kmにも渡る。通常の山道でもないところでこの距離(45km)にかかる所要時間を単純に考えると…
車→1時間
原付バイク→1時間20分
自転車→2時間
マラソン→4時間
徒歩→8時間
各界のプロレーサーや陸上選手でない限り、45kmというのは一般的にこれぐらいの時間を要する。しかも、この距離が山道で、足場は決して良くはなく、アップダウンが激しい。
専門家に言わせると「アップダウンがある登山道の10kmは一般道で例えると30kmだ!」という。これは「3倍の体力・時間が必要」という意味を指す。
通常のトレッキング(徒歩)でダイトレ45kmを踏破する為には、普通に考えても21時間〜24時間は必要になる。もちろん、トレールランニングのように走る方は所要時間も少ないだろうが、常人には考えられない。
それと「縦走はどちらからスタートし、どちらをゴールとするか?」もかなり重要となる。これはダイヤモンドトレールにもあてはまることで、
北入口→南入口の順路にするか?
南入口→北入口の順路にするか?
を考えて計画を練る必要がある。
経験されていない方は「どちらから行っても結局は一緒じゃないの?」と思うかも知れないが、これが縦走踏破のカギを握る!と言っても過言ではない。そこで、順路を決める際に重要な点を挙げてみる。
①通過点、山頂などの標高をリサーチし登り下りの標高差は?
②スタート地点とゴール地点のアクセスは?
③電車バスなどの始発終発は?
④水分補給場所、トイレのポイントは?
⑤エスケープ(途中下山)できるポイントは?
⑥自宅はどちらに近いのか?
このような項目を考慮して(⑥は別問題)結論を導き出すと、ダイトレは北入口→南入口への順路がベストと私は思う。 以下の記述を熟読してもらうと納得してもらえるだろう。
ダイトレ踏破の計画を立てる!
あまりにも過酷なダイトレ踏破を目的とするなら、ご自身のレベルを考慮した上、以下のプランを参考にしてもらいたい。(ダイトレ北入口→ダイトレ南入口へ向かう順路が前提)
A.ダイトレ1回で踏破プラン
ダイトレ北入口→ダイトレ南入口
登山上級者/ダイトレ45kmを24時間かけて1回で踏破するプラン
B.ダイトレ2回で踏破プラン
ダイトレ北入口→金剛山伏見峠
金剛山伏見峠→ダイトレ南入口
登山中級者/ダイトレ45kmを2分割し、2回で踏破するプラン
C.ダイトレ3回で踏破プラン
ダイトレ北入口→水越峠
水越峠→紀見峠
紀見峠→ダイトレ南入口
登山初心者向け/ダイトレ45kmを3分割し、3回で踏破するプラン
※上記、A.B.C.以外にもダイトレは色々なバリエーションでプランを練ることができます。ご自身にあったプランを計画することも登山では重要です。
※筆者が実際にダイトレ踏破した登山記事も参考にして下さい。
ダイヤモンドトレール/その1
屯鶴峯穴虫峠:ダイトレ北入口→金剛山山頂
ダイヤモンドトレール/その2
金剛山伏見峠→紀見峠
ダイヤモンドトレール/その3
紀見峠→槇尾山施福寺:ダイトレ南入口
A.ダイトレ1回で踏破プラン
登山上級者向け
縦走の行動時間(休憩を含む)/24時間
歩行距離/45km
このプランの最大の特徴は「半分近くは暗闇の中を夜間登山」する点である。
始発で近鉄奈良線:上ノ太子駅まで行き、縦走をスタートする。前半は日中登山、後半は夜間登山となり、夜が明けてからのゴールとなる為、始発以降の槇尾山オレンジバスに乗ることが可能だ。少なくとも所要時間は目安なので、始発でのスタートをしておけば、24時間以上かかった場合でもゴール地点からはバスに乗れることだろう。これが夜スタートにしてしまうと24時間後のゴール地点ではバスの運行時間は終了しており、帰り路が困ることになる。
これは総体的に過酷なプランの為、決しておすすめはできない。
だが、日本を代表する山々、北アルプスや南アルプスにチャレンジする人は、このダイトレ1回踏破を達成しているとかなりの自信になり、十分な経験になることだろう。おそらくは国内のどの山のピークハントよりも過酷なコース・行動時間・距離といえる。
”ダイトレ1回で踏破”に必要な電車バスのダイヤ情報
近鉄奈良線:上ノ太子駅まではコチラ
槇尾山施福寺からのバスはコチラ
B.ダイトレ2回で踏破プラン
登山中級者向け
1. ダイトレ北入口→金剛山伏見峠 縦走の行動時間(休憩を含む)/11時間
歩行距離/約22km
2. 金剛山伏見峠→ダイトレ南入口 縦走の行動時間(休憩を含む)/11.5時間
歩行距離/約23km
このプランの最大の特徴は「常に時間を気にかける」点である。
スタートは朝一or夜間、どちらでも構わないのだが、問題は帰りのバスに間に合うかどうかを時間を気にしながらの縦走となる。
仮に1回目の縦走を昼スタートにすると、11時間後の縦走終了時にはバスがない。
夜19時ぐらいの電車でダイトレ北入口へ向かうと金剛山伏見峠への到着はおそらく朝6時。金剛山を下山して7時であればすぐにバスもあることだろう。もしくは始発の電車で北入口に向かえば16時〜17時ぐらいには金剛山伏見峠に到着する。これならギリギリ最終バスにも間に合う。2回目の縦走時も同様の内容が言える。要するに帰りのバス時間を気にしながらの登山が重要だ。
これは、他の山にチャレンジする時も時間配分やどのぐらいの距離をどのぐらいの時間で歩けるか?など経験を積め、それが参考値となる訳だ。 また半日の登山行動時間を経験することで様々な山にチャレンジできるバリエーションも増えることになり自信に繋がることだろう。
”ダイトレ2回で踏破”に必要な電車バスのダイヤ情報
近鉄奈良線:上ノ太子駅まではコチラ
金剛山伏見峠から下山後のバスはコチラ
槇尾山施福寺からのバスはコチラ
C.ダイトレ3回で踏破プラン
登山初級者向け
1. ダイトレ北入口→水越峠 縦走の行動時間(休憩を含む)/7.5時間
歩行距離/約15.7km
2. 水越峠→紀見峠 縦走の行動時間(休憩を含む)/7.5時間
歩行距離/約15.3km
3. 紀見峠→ダイトレ南入口 縦走の行動時間(休憩を含む)/7時間
歩行距離/約14km
このプランの最大の特徴は「できるだけ楽にダイトレ踏破」できる点である。
このプランなら時間に追われることもなくゆったりした縦走にチャレンジできる。夜間登山のみにチャレンジしたい人なら最終バスや終電で現地に向かい、縦走スタートすることで朝には終了できる。朝一から現地に向かうと夕方の最終バスにも十分間に合う。また3分割の1回目の縦走チャレンジに関しては、始発で北入口からスタートし、時間に間に合いそうなら頑張って水越峠を越え伏見峠までチャレンジすることもできる。登山初心者であれば是非おすすめしたいプランである。 …だが少々何点もある。
1回目のゴールである水越峠から最寄りの水越峠バス停まで(15分程度)。
2回目のゴールである紀見峠から最寄りの紀見峠駅まで(30分程度)。
3回目のゴールである槇尾山施福寺から最寄りの槇尾山バス停まで(20分程度)。
これらの歩行距離も加算されるので総合的な歩行距離・時間も増え、行程に組み込むことも重要となる。
”ダイトレ3回で踏破”に必要な電車バスのダイヤ情報
近鉄奈良線:上ノ太子駅まではコチラ
水越峠から富田林駅のバスはコチラ
富田林駅から水越峠のバスはコチラ
金剛山伏見峠から下山後のバスはコチラ
槇尾山施福寺からのバスはコチラ
ダイトレのトイレ設置ポイント
北入口から順に案内します。尚、スタート地点に向かう為の駅トイレは省きます。
①二上山雄岳と二上山雌岳の間
②竹内峠
③岩橋峠から持尾辻の間
④大和葛城山山頂
⑤金剛山山頂
⑥ダイトレ紀見峠
⑦岩湧山山頂直下
⑧滝畑駐車場横
下山後のトイレ
○水越峠バス停付近
○金剛山ロープウェイ乗り口
○金剛山百ヶ辻登山口付近
○槇尾山施福寺下山後
ダイトレの水分補給ポイント
北入口から順に案内します。尚、スタート地点に向かう為の駅は省きます。
①大和葛城山山頂自動販売機
②金剛の水(水場)
③金剛山山頂自動販売機
④岩湧山手前の錦名水(水場)
⑤滝畑湖畔観光自動販売機
※ダイトレ北入口からの順路は、前半はエスケープ(途中下山)ポイントも多く最悪のケースはエスケープして飲料を確保できる箇所も多い。金剛山山頂をすぎてからは④岩湧山手前の錦名水も発見しにくく、滝畑湖畔観光まで飲料を確保できない。夏場は特に十分な水を持って山に入りましょう。
このページの関連記事
ダイヤモンドトレール/その1
屯鶴峯穴虫峠:ダイトレ北入口→金剛山山頂
ダイヤモンドトレール/その2
金剛山伏見峠→紀見峠
ダイヤモンドトレール/その3
紀見峠→槇尾山施福寺:ダイトレ南入口
富士山、アルプス、関西の名山などこのページの形式で色々な登山情報を解説しています。お気軽に是非ご覧下さい。
『ヤマイロハ』について
ご覧のサイト “ヤマイロハ” は登山に関する記事を初心者目線で丁寧に解説しています。いや、しているつもりです(笑)
ご自身に必要な登山項目、探してる登山内容、が“ヤマイロハ”にはあるはずです!登山に興味がある方は、他のページもお気軽にご覧になってみて下さい。
登山に関する記事を様々ご用意しています! こちらからお探し下さいませ。ヤマイロハ/サイトマップ
“ヤマイロハ”では、
私と私の仲間の登山経験から裏打ちされた
「本当に必要なおすすめ商品」を厳選して紹介しています!
●おすすめ商品で納得できない…
●別のカラーやデザインを探している…
●他のブランドを見てみたい…
●他のアイテムを探している…
●他に良いアイデアは…
などなど、
こんな場合は下記のショップがおすすめ
★おすすめWEBSHOP★
「登山用品」 ↓
登山のことなら「好日山荘WEB SHOP」
初心者・中級者・上級者。どの登山者も納得のラインナップ!豊富で品揃えが充実した「好日山荘WEB SHOP」は登山の服装はもちろん!登山靴、ザック、トレッキングパンツ、登山インナー、登山アウター、レインウェア、その他の登山用品や登山道具まで揃えることができる!会員登録すると3%のポイント還元があり。トレッキングシューズ(登山靴)の購入後、サイズ変更が無料!
登山初心者はコチラがおすすめ
登山・クライミング用品ならコチラ
「登山レンタル」 ↓
「登山用品を売る」 ↓
「アウトドア・スポーツ」↓
「テント」 ↓
テント関連はコチラがおすすめ
寝袋・ベッド・マットはこちら
「キャンプ・BBQ」 ↓
キャンプ初心者ならコチラ
アウトドア・キャンプ用はココ
流行の女子キャンプ用品!
BBQバーベキュー初心者はこちら